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2017年05月27日 (土)コラム

労働者を守る「労災保険」の給付内容とは?

こんにちは。HRプラス社会保険労務士法人の増田です。
今回は労災保険の給付について解説していきたいと思います。

■労災保険の意義と、保険給付の種類
業務上の災害により従業員が被災したら、治療に要した費用を全額会社が負担し、本来その従業員が受け取る予定だった賃金(給与等)も会社が全て負担する必要があります。
これを労働基準法上の「使用者の災害補償責任」と言います。
万が一、労災事故が起きると会社(事業主)の負担は莫大なものとなります。賠償能力がない場合、被災労働者は救済させないまま放置させることになってしまいます。
そこで、国が保健制度を運営し会社(事業主)は義務としてこれに加入することによって、災害補償を受けられるようにしましょう、というのが労災保険の意義です。

では、労災保険の給付とはどの様なものがあるのか見ていきましょう。
・療養補償給付
・休業補償給付
・障害補償給付
・遺族補償給付
・葬祭料
・傷病補償年金
・介護補償給付及び二次健康診断等給付
この他に、保険給付を補足する社会復帰促進等事業である特別支給金も存在します。
特別支給金については、傷病特別支給金と傷病特別年金以外は申請によって支給され、申請する際は原則として保険給付と同時に行います。(保険給付請求書と同一様式となっていますので、個別に申請するものではありません。)

■業務上の災害で、仕事を休まなければいけないときは?
業務上に起きた災害で仕事を休まなければいけないときは、労災保険の「休業補償給付」がを受けることができます。支給要件や、始まる前の待機期間について順番にみていきましょう。

労災保険の休業補償給付は、業務上の事由による負傷・疾病などにより、「療養している」「労働できない」「賃金を受けられない」というすべての要件を満たした場合、3日の待機期間を経て支給されます。
つまり、休業初日から3日間は待機期間として労災保険からは休業補償給付は支給されず、4日目から給付が開始されるということです。
待機期間である3日間についてですが、業務災害の場合労働基準法の規定があるため、会社(事業主)が休業補償を行う決まりになっています。
業務災害の場合は、休業の最初の3日間は、会社から平均賃金の60%の休業補償をしなくてはいけませんが、休業補償は賃金ではないため、雇用保険や社会保険の対象とはなりません。
そのため、所得税も非課税となりますので注意しましょう。

一方、通勤災害においては会社(事業主)に補償の義務はありません。
通勤災害については、事業主の安全管理が及ばない範囲であるからです。
ただし、労災保険から通勤災害に基づく保険給付は支給されます。

■業務災害と通勤災害の境界線は?
出張先など遠方から帰宅する際に怪我をしてしまった場合、これは通勤災害と思われがちなのですが、出張中の場合は自宅を出てから帰宅するまでの間が業務中となります。そのため、「業務災害」となります。
その他、自転車や徒歩などで会社の駐車場内で怪我をした場合も、業務開始時刻前に事業所内で怪我をしているため業務災害となります。
このように、業務中なのか通勤中なのかは判断に迷うことが多いかと思いますので、管轄の労働基準監督署に確認をとった上で手続き等をすすめるようにしましょう。


■おわりに

人事労務担当者であっても労災保険の内容を詳しく知っている方は少ないと思います。
まずは労災を発生させない安全衛生体制の確立が重要ですが、万が一被災者労働者が出てしまった場合は、正しく労災の申請を行い、被災労働者の救済に努めていきましょう。

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