事業内容

海外進出支援コンサル

日本の企業は今、東南アジアに熱い視線を注いでいます。これは大企業に限った話ではなく、中小企業やベンチャー企業も東南アジアへの進出意欲を高めているのです。

その背景には2015年にASEAN共同体という6億人規模の巨大マーケットが誕生すること、メーカーにとっては割安な人件費が大きな魅力であること、反日感情が高まる中国からリスク回避することなどが挙げられます。さらには、我が国では少子高齢化が急激に進展し、人口の減少によるマーケットが縮小、労働力の慢性的不足などが懸念されていることもその理由のひとつだと言えるでしょう。

こうしたことから東南アジアへ進出を検討し、現に進出を果たしている企業が増えているのです。ところが、既に世界中に拠点が設けている大手金融機関や総合商社であるならばいざ知らず、中小企業やベンチャー企業では初めて海外に進出する、という企業のほうがむしろ多く、海外進出にあたってのノウハウがほとんど溜まっていないのが実情です。

もちろん、外務省や日本貿易振興機構(JETRO)などはたくさんの情報を提供していますから、これは大いに活用すべきです。しかし、海外進出の実績に乏しい中小企業やベンチャー企業にとっては大量に、かつ、断片的に示されるこれらの情報を体系立てて把握することは極めて困難であり、却って混乱して情報を集約できないことも生じます。

弊所では、中小企業やベンチャー企業が抱える海外進出に伴う悩みを解消するためのサポートを積極的に行っています。


  1. 海外赴任時の人事労務の実務と手続き

    健康診断/予防接種/単身赴任と家族帯同/子供の学校さがし/留守宅管理
    海外旅行保険など

  2. 海外赴任者への賃金の支払い

    グロスアップ計算/購買力補償方式/併用方式/海外赴任手当/ハードシップ手当/非居住者の取扱いなど

  3. 海外赴任者の社会保険の取扱い業務

    海外療養費/随時改定/社会保障協定/厚生年金保険特例加入制度/労災保険の特別加入制度など

  4. 海外赴任規程の作成

    目的/定義/海外赴任期間/渡航手続き/荷造運送費/海外給与体系/住宅費用/教育費用/換算レート/一時帰国など

海外赴任時の人事労務の実務と手続き

海外赴任とは、「海外の事業場に所属し、その事業場の使用者の指揮に従って勤務すること」とされています。

海外赴任は、①国内企業の海外支店、営業所へ所属を移す「配置転換」、②国内企業に在籍のまま海外関連企業(現地法人、合弁会社、提携先企業など)の従業員や役員として海外企業の業務に従事する「出向」、③国内企業では退職の手続きを取ったうえで海外関連企業へ移籍し、従業員や役員として海外企業の業務に従事する「転籍」の3つに区分されます。

社員を海外へ赴任させるためには、労働安全衛生法第66条及び労働安全衛生規則第45条の2第2項に基づき、健康診断を受診しなければなりません。

海外赴任者の赴任前・帰国時の健康診断があります。事業主には、6カ月以上海外に滞在する労働者に対して、赴任前及び帰国時(本邦での業務に就かせるとき)には定期健康診断の高項目に加え、厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を受診することが義務付けられています。

単身赴任の場合は海外と日本との二重生活になるため、日本に残してきた家族への生活や本人や家族の往来についてあらかじめ考慮しておく必要があります。反対に、家族帯同で赴任する場合は、現地での子供の日本人学校を手配するなどに配慮するほか、空き家となってしまう日本の自宅の取り扱いが問題となります。

また、渡航手続きついても、単身赴任であれば、ビザや航空券の取得、引越の手配なども、原則として本人に任せておけばよく、不明な点や会社がフォローするべきことがあったとしても社内ですぐにコミュニケーションを図ることができます。ところが、帯同する家族に同様の手配を丸投げするわけにはいきません。赴任者の家族が不安に思うことがないよう、「海外赴任時の家族帯同ガイドブック」を作成するとともに、帯同家族に対する説明会を開催するなど、丁寧に説明し、質疑に答えていくことも求められます。

海外へ赴任する前に健康診断と合わせて実施しなければならないのが予防接種です。特に東南アジアへ赴任する場合には、破傷風、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病への対策が必要となります。予防接種を受けることで感染症にかかるリスクを下げることができますから渡航前に必ず接種しましょう。

海外赴任者への賃金の支払い

日本に勤務しているときの賃金の支払い方は、基本給や諸手当を加算した総支給額から、社会保険料、所得税などを控除した差引支給額、すなわち手取り額を支給します。海外赴任者に対する賃金はこれと全く逆の発想で、手取り額から社会保険料、所得税を逆算し積み上げていって支払います。これを「グロスアップ計算」といいます。

海外赴任者への賃金の支払い方法には、主に「購買力補償方式」「別建て方式」「併用方式」の3つに大別されます。

  1. 購買力補償方式

    日本での賃金水準を基準として、現地の生活費指数や為替レートを考慮の上、賃金額を決定する方法です。

  2. 併用方式

    日本国内でこれまで支給してきた基本給をそのまま海外で支払う基本給として現地賃金に換算し、これに海外勤務であるために余分に支出を要する分を手当として加算する方式です。

  3. 別建て方式

    日本国内で支給してきた賃金とは全く無関係に、赴任先の国、地域及び赴任中の職務や役割に基づいて賃金額を決定する方式です。

購買力補償方式を採用した場合、海外で支給される基本給は原則として赴任地での生活に必要な水準にとどまることから、海外赴任手当(海外勤務手当)を付加することが一般的です。また、赴任地の治安、気候、食生活などの生活環境の違いから受ける精神的・身体的負担を補填し、生活条件格差等補填手当としてハードシップ手当を支給することが多く見られます。

海外赴任者に対して賃金の支払方法は、会社の事情によっても様々ですが、日本国内における支払い分は円建てとし、赴任国で使う海外支払い分は現地通貨、というのが一般的です。ただし、現地通貨がマイナーであって換金しにくい、通貨価値が安定していないなどの場合は、円建てや米ドル建てとする場合もあります。

しかし、為替レートの変動によって賃金額が低下してしまい赴任者から苦情をくることもよくあります。こうした苦情に応えようと人事部も必死に策を巡らせるわけですが、これは正直どうにもコントロールできないものです。そのため、海外赴任手当など外貨で支払う手当については為替リスクをあらかじめ見込んで定義しておく、既に補填済みであると主張する、為替は日々変わる性質であることから損得は仕方ないと赴任者に言い切ってしまう、為替レートの見直しを頻繁に行うこと、などが対策として考えられます。

海外赴任者の社会保険の取扱い業務

海外の現地法人に転籍となった場合は、日本の会社の健康保険制度は被保険者資格を喪失して、現地の健康保険制度の適用を受けることになります。しかし、そうした健康保険制度がない国や医療制度や保険市場が未成熟な東南アジア地域へ赴任する場合には、会社が海外旅行保険を用意するのが一般的です。

本来は海外旅行者向けに現地での事故や病気、ケガを補償するために開発された保険商品ですが、補償期間を長くして補償内容も充実させ、海外赴任者向けにアレンジした形で各保険会社が取り扱っています。

一方、海外出張、海外出向により引き続き日本の会社から報酬を受けることができる場合は、赴任者の健康保険被保険者資格は原則として継続されます。被保険者資格が存続しているわけですから、海外赴任者に対しても当然のことながら日本国内と同様の保険給付が受けられることができます。

ただし、海外の医療機関の窓口では健康保険被保険者証は利用できないため、医療費の全額を一旦支払い、診療報酬明細書や領収明細書等を受け取り、それらの日本語翻訳文を添付して改めて健康保険組合や全国健康保険協会に対して療養費の請求を行います。もちろん、自己負担額は控除されますから全額が払い戻されるわけではありません。

海外療養費の支給対象となるのは、日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。そのため、美容整形やインプラントなど、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が処方された場合は、給付の対象になりませんので注意しましょう。

労働者災害補償保険(労災保険)は、日本国内にある事業場に適用されるため海外赴任した労働者は適用の対象外となります。もちろん赴任国の労働災害補償制度の対象となりますが、外国の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分でない場合もあるので保護が希薄な状態で就労しなければならず何らかの保護が必要となります。

労働者災害補償保険法では海外赴任する労働者が特別加入することで労災保険の対象とする道を開いています。海外赴任者として特別加入をすることができるのは、以下のいずれかに該当する場合です。

  1. 日本国内の事業主から、海外で行われる事業に労働者として赴任する人
  2. 日本国内の事業主から、海外にある中小規模の事業に事業主等(労働者ではない立場)として赴任する人

海外赴任規程の作成

海外赴任が決まると、賃金や処遇などについて赴任者との間で取り決めることがたくさん出てきます。それらを一つのルールブックとして編纂したものが海外赴任者規程です。

海外赴任者規程は、法律的に必ず作成するものではないし、海外赴任者が少数の場合は作成しなくても良いのでは?という話を稀に耳にすることがあります。しかしこれは大事な社員を海外に赴任させる以上、会社の責務として作成を怠ってはいけません。海外赴任者規程がないと、赴任中の所属や身分や、勤務時間や休日、家族帯同の可否、賃金の支払い方などが不詳で、ただでさえ慣れない海外での暮らしを余儀なくされる中でさらに不安を増大させてしまいます。

赴任後も、一時帰国や家族の呼び寄せのタイミングやその旅費、傷病を罹患した場合の医療費負担など、わからないことばかりになり、次第に会社に対する不信感も芽生えてしまい、何のために海外赴任させたのか、その目的すら怪しくなってきます。そのような意味でも、海外赴任者手当はできるだけ早急に、かつ、よく熟慮しながら作成することが必要です。

作成にあたって、他社の海外赴任者規程をまるごと流用しているケースも散見されますが、これはまったくのNGです。会社が海外へ進出する目的と海外赴任者に対するミッションに照らして、自社の実情に合った規定をひとつずつ丁寧に織り込んでいくことが望まれます。

また、既に海外赴任者規程がありそれを見直す場合には、労働条件の不利益変更に留意する必要があります。海外赴任者規程の内容が労働条件の不利益変更を伴う場合には、事前に社員に対して十分に説明責任を果たすこと、既に赴任の準備を進めている者については既得権を認める、代替案として他のベネフィットを付与する、一定の経過期間を設けるなどの措置が必要になってくるでしょう。

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